地球環境財団のミッション:理事長挨拶




 
 
 

理事長挨拶


自然の摂理に学びたい


「開発の世紀」と揶揄された20世紀から、その改善への期待を込めて「環境の世紀」と言われる21世紀へ、大きく世紀が改まってから早くも満7年の歳月が流れましたが、「環境の世紀」と呼ぶには今一つ、実感が湧いて来ないのは、どうしたことでしょうか。  地球温暖化防止をはじめ、生物多様性の後退など、地球環境の実態はいずれの指標を採り上げても、引き続き悪化の一途を辿っており、「環境の世紀」の名が虚ろに聞こえてなりません。自然の摂理を前に、人類の英知がいかに無力であるか、私たちは謙虚に思い知らなくてはなりません。

その中にあって、「環境」への目線を広げ、地平を拓いてくれた、瞠目(どうもく)すべきメッセージを忘れてはなりません。前米副大統領で『不都合な真実』の著者であるアル・ゴアさんとともに、昨年末のノーベル平和賞を受賞した国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書『地球環境概況:開発に向けた環境(GEO4)』が発信しているメッセージです。

日本からの参加者30人を含む全世界の科学者ら約500人を中心とする執筆陣の多様な意見を1つの声に集約した合意点が「温暖化の主因は、人為起源にあり、人の営みによる可能性が極めて高い」と、いかにも科学者らしく、慎重な言い回しながらも初めて断定したことでした。

私たちは今、歴史上の転換点に居合わせ、遭遇していながら、国内外に亘る日常的な些事(さじ)に目を奪われ、気を遣い、心を翻弄されているうちに、重大な転機に気付かないまま、やり過ごして、後々に失われた歳月を後悔する日がいつかやってくるのではないか、と危惧せざるを得ません。

その昔、コペルニクス(1473-1543)は地動説を唱えて、やがて人類と地球の関わりを教えてくれました。ガリレオ・ガリレイ(1564-1642)はその地動説を是認して、宗教裁判に付されましたが、「それでも地球は回る」と主張して、やがて人類と自然との関わりを教えてくれました。ダーウィン(1809-1882)は、人間は決して神の創造物ではなく、生物の進化過程で生を得た生物の一種で、人類も自然の生態系の中で生かされていることを教えてくれました。

IPCCの科学者たちも、アル・ゴアさんも、今、私たちに対し、自然の摂理に対する人類の愚かな影響力を示唆しつつ、それがいつか取り返しのつかない結末を招きかねない事態の重大性を警告しています。地球温暖化は、人間が自然への畏敬の念を忘れたがために、自然が人間に対し、悲鳴を上げ始めた自然からの逆襲であることを、私たちは今こそ自覚しなければなりません。

当財団は、かけがえのない水の惑星・地球の美しさとその持続可能性を、未来の世代へ継承していくことを使命としております。「環境の世紀」をフォローの風と受け止めて、環境の保全、改善へ向けた社会貢献活動に微力を尽くして参る所存でおります。
以前にも増して、ご支援、ご協力を賜りますよう、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

2008(平成20)年 3月10日


財団法人 地球環境財団
理事長 嶋矢志郎



嶋矢理事長のプロフィール

1937(昭和12)年東京都生まれ。

早稲田大学政経学部卒、日本経済新聞社(記者職)入社、経済・産業記者、編集委員兼デスク、総合経営企画担当社長補佐等を歴任後、
論説副主幹/論説委員。
その後、大学教授へ転じ、芝浦工業大学大学院工学マネジメント研究科教授、同大学先端工学研究機構客員教授を経て、現職に至る。
この間、政府、中央官庁、地方自治体等の

各種委員など公職を多数歴任する一方、新聞、雑誌への寄稿及びTVのキャスター、ラジオのパーソナリティー等、各種マスメディアにレギュラー出演。
専門は、地球社会論、環境共生論、環境経営論、CSR論。論文・著書多数。



 

投稿者:earthianat 17:52| 地球環境財団のミッション